2024年9月7日(土)、シティプラザ大阪で開催された第59回関西武夫原会総会・懇親会にお招きいただき、ご挨拶させていただきました。
来年は第60回ということで何か記念になる会を計画されているようです。
法学部長挨拶
法学部長の大日方です。本年も関西武夫原会総会懇親会にお招きいただきありがとうございます。1年振りではございますが、こうして皆様にお会いすることが叶いましたことを嬉しく思います。
さて、昨年のこの回から今日までの1年間の法学部ですが、熊本大学内が目まぐるしく変わっていっている中で、目に見えて変わったこととしてご紹介することはとくにありません。ただ、この1年間の法学部をふり返れば、毎年のこの会合でもご紹介させていただいた附属センターですが、例の「エルペルク」です(メルパルクではなく)、このセンターを法学部の対外的な業務のセンターとして、さまざまな活動を実施し記録をしてきておりますが、ことしも例年通り6月には「災害時の民事法上の課題について」副題を「被災者支援の在り方を中心に」として、シンポジウムを開催しております。熊本地震を受けて、法学部では、災害からの復旧復興を社会科学的に検討するということを1つのテーマとして、教育研究活動を続けております。本年のシンポジウムもその一環としてのものであり、多くの参加者を得ると同時に、地元紙(というのは熊本日日新聞のことですが)で報道していただきました。この様子についてはエルペルクのウェブサイトでご覧いただけますので、是非「エルペルク」の検索ワードでお調べいただければと思います。
つぎに、なかなか法学部としては景気のいいお話しがないのですが、特筆すべき成果としては、法学部には、2020年というのは令和2年ですが、この年度より「法曹コース」という教育課程を設置しております。これは法科大学院と連携協定を結んで、基本的には学部3年(これ、3年間で卒業要件を満たし、しかも、GPAという成績の平均を示す数値で3.0以上、3.0というのは平均して「優」ということですが、これ)で卒業し、協定先の法科大学院に進学して司法試験を受験し法曹を目指すというカリキュラムのことで、本学は、九州大学・神戸大学・中央大学・早稲田大学と協定を結んでおります。その1期生が昨年の司法試験に受験し、みごと3名が合格して、現在、司法修習生になっております。この3名は学部3年、大学院に進学して2年目の年に実施された司法試験に合格しておりますので、高校卒業大学進学の年から5年目の年に司法試験に合格したことになります。すでにご紹介したかと思いますが、2021年(令和3年)には当時の4年生が司法試験に合格しておりまして(現在、東京地裁で裁判官しておりますが)、熊大には法科大学院はなくなりましたが、法学部や熊本の地での法曹養成は法学部が中心となって脈々と続いているとはいえると思います。
また、あまり耳慣れないものかもしれませんが、実はすでに20年を超える歴史がある(おそらく2000年が第1回だと思います)、法学検定試験というものがあります。これは、公益財団法人日弁連法務研究財団と公益法人商事法務研究会が共同で組織した法学検定試験委員会が実施している法的知識・能力を問う検定試験で、法学検定ウェブサイトによると、ベーシックコースは「法学の初学者がまずはおさえていくべき基礎的なレベル」、スタンダードコースは「法学を学習する者が達成すべきレベル」とされております。試験は全国規模で実施されていて、大学の偏差値ではなく、大学でいかに法学を学んだか、それをどのくらい身につけているかを客観的に証明する資格として通用する検定試験といえるのではないかと思います。この昨年の試験ですが、初学者(とっても2年生程度の法学力はいると思われる)ベーシックの合格者部門で熊大法学部は全国1位、中級くらい(とはいっても法学を一通り学んだくらいの学力がいると思われる)スタンダードの同じく合格者数の部門で全国2位になりました。ベーシックもスタンダードも実際には1・2年生の受験がほとんどですので、本学の学力は全国的にも高いとはいえると思います。
とまぁ、学力的にはいいのですが、皆様にもおそらくご心配をいただいているのではないかと思いますが、昨年度の一般入試前期日程の受験倍率が過去最低?でした。わたしが熊大に赴任したのは2007年(平成でいうと19年)の10月で、すでに17年経とうとしているのですが、赴任以来最低の数値だと思いますし、その頃とくらべると1倍程度(1倍というのは定員ということですから定員分くらい)受験者を減らしたということになると思います。教育内容にとくに問題はないとは思うのですが、少子化の影響とばかりはいってられないのかもしれません。入試説明会や高校訪問等をして受験生獲得を目指しておりますので、何らかの機会には皆様にも是非、ご支援いただきたいと思います。ちなみに、受験生は減らしておりますが、受験偏差値や合格者の共通試験の点数等には変化はとくに見られないようです。
最後になりましたが、昨年、法文棟の前に武夫原会からのご寄附をいただき、高野槇(こうやまき)の木を植樹いたしました。日常、とくに手入れをしていることはないと思いますが、無事に育っているように思います。このことをご連絡いたしまして、わたしからの挨拶にかえさせていただきます。
本日はお招きいただきありがとうございました。