きのう(2024年10月26日)、勤務校でシンポジウム「TSMCと半導体は熊本・日本を救うか? - 産業論と地域経済の視点から」を開催しました。主催者を代表してご挨拶させていただきましたので、その内容です。
主催者代表挨拶
熊本大学法学部学部長の大日方でございます。本日は、お忙しいところ、熊本大学大学院人文社会科学研究部(法学系)主催、熊本大学法学部・大学院社会文化科学教育部共催のシンポジウム「TSMCと半導体は熊本・日本を救うか? - 産業論と地域経済の視点から」にご参加いただきありがとうございます。主催者を代表いたしまして、一言、ご挨拶申し上げます。
2021年(令和2年)10月に半導体の受託生産における世界大手である台湾積体電路製造(Tiwan Semiconductor Manufacturing Company〔TSMC〕〕)の日本工場の建設が熊本県に決まって以来、熊本県そして本学・熊本大学にも「半導体バブル」とでも呼ばれそうな現象が起きています。その後、第2工場の建設も熊本県内となるということで、その経済効果は10年で20兆円とも試算されているようです。熊本大学でも半導体や先端産業に人材を輩出するための、新しい教育プログラム(工学部に設置された半導体ディバイス工学課程はその象徴かと思います、こうした新しい教育プログラム)に力を入れ始めています。しかし、反面で、官民一体で急速に進めるこのプロジェクトには、地域社会や経済への影響も大きく、交通インフラの未整備による渋滞問題や賃金上昇による地元企業の人材確保難など、多くの課題に直面しているようです。
本日の「TSMCと半導体は熊本・日本を救うか?」と題するこのシンポジウムは「半導体バブル」に高揚している熊本・あるいは本学の状況をうけて、すこし冷静に、経済学、とくに地域経済学、国際経済学、財政学等をご専門とする方々をパネリストとして迎えして、先端技術を巡る社会経済的問題について検討するものと理解しております。こうした経済学を軸とした教育研究活動ができることも、熊本大学法学部・法学系大学院の強みなのではないかと思っております。
本日のシンポジウムでは特定の地域に大規模産業が集積されることの問題点がさまざまな角度から論点整理がなされると思われます。本シンポジウムでの議論をうけ、ご参加いただいたみなさまがさまざまなお立場・視点から地域への産業集積がもたらす問題・課題を考える切っ掛けにしていただければと存じます。
それでは、本日はよろしくお願いいたします。