拙論「サイト・ブロッキング法制化におけるプライヴァシー権と通信の秘密」法律時報94巻10号68頁(2022年9月号)が刊行されました。

 前作「海賊版サイト・ブロッキングの憲法適合性」法律時報93巻2号82頁(2021年)の続編ともいえる本作では、通信の秘密の保護法益をプライヴァシーと見る視点から、海賊版サイト対策としてのサイト・ブロッキングと通信の秘密の関係に焦点をあわせて検討しています。

 本稿のポイントは、次のようにまとめることができると思います。

 ① 通信の秘密は、プライヴァシーの保護を要請する法原則であること。

 ② ここにいう「プライヴァシー」とは、通信利用者が通信を利用するために通信事業者に提供した個人情報の取扱いが適正になされることへの「合理的な期待」のことであること。

 ③ この「合理的な期待」が毀損されなければ通信の秘密を侵害しているとはいえないこと。

 ④ したがって、サイト・ブロッキングを許す法律を制定する場合には、ブロッキングするための情報利用に関して通信利用者が通信事業者の間で抱いている「合理的な期待」が毀損されないことを法制度として規定する必要がある。

 サイト・ブロッキング合憲説は、まだまだ少数説にとどまっていると思いますが、まぁ、あんまり学界には影響のない者なので、そのあたりは気楽に自説を論じてみました。ひとつよろしくお願いいたします。