2024年10月20日(日)、東京で勤務校法学部・文学部同窓会(武夫原会)の総会・懇親会があったので、ご挨拶させていただきました。

事前に挨拶を依頼されていたので、一応、何をお話しするかメモしていったのですが、当日の雰囲気・流れのなかで、この通りにはご挨拶しておりません(だいたいそうですが)。下は事前に準備していったものです。

ところで、当日は、某市東京事務所に勤務中のわたしのゼミ生も参加してくれて、卒業後、はじめて話すことができました。また、その世代にはミスユニバース熊本代表(現在、東京で弁護士)もいて、ご挨拶してテーブルに戻ると、その話で大盛り上がりでした。関西武夫原会には在学中に出席したことがあるのではないかと思いますが、東京の会にはまだ参加していないので、いずれ連れてこわれればいいかぁ、と思いました。

法学部長の挨拶

法学部長の大日方です。東京武夫原会総会懇親会にお招きいただきありがとうございます。昨年はグローバルリーダーコースの推薦入試と重なったため、代理の者に出席してもらいましたが、本年はこうして皆様にお会いすることが叶いましたことを嬉しく思います。

さて、このところめまぐるしく変わっていっている熊本大学の中で、法学部はというと、安定成長というか何というか、目に見えて変わったこととしてご紹介することはとくにありません。ただ、この1年間の法学部をふり返れば、以前もこの会合でもご紹介させていただいたとは思いますが、附属センター、例の「エルペルク」ですが(メルパルクではなく)、このセンターを法学部の対外的な業務のセンターとして、さまざまな活動を実施し記録をしてきております。ことしも例年通り6月には「災害時の民事法上の課題について」副題を「被災者支援の在り方を中心に」として、シンポジウムを開催しております。熊本地震を受けて、法学部では、災害からの復旧復興を社会科学的に検討するということを1つのテーマとして、教育研究活動を続けております。本年のシンポジウムもその一環としてのものであり、多くの参加者を得ると同時に、地元紙(というのは熊本日日新聞のことですが)で報道していただきました。この様子についてはエルペルクのウェブサイトでご覧いただけますので、是非「エルペルク」の検索ワードでお調べいただければと思います。

また、つぎの週末の10月26日の土曜日には「TSMCと半導体は熊本・日本を救うか?」、副題として「産業論と地域経済の視点から」とする本年2度目のシンポジウムを開催する予定です。2021年10月にTSMC(JASM)の日本工場建設が熊本県に決まって以降、熊本経済はめまぐるしく変化し、国内外から注目されています。まぁ、いわゆる「半導体バブル」に沸いています。熊本大学でも半導体や先端産業に人材を輩出するための、新しい教育プログラムに力を入れ始めています。しかし、反面で、官民一体で急速に進めるこのプロジェクトには、地域社会や経済への影響も大きく、交通インフラの未整備による渋滞問題や賃金上昇による地元企業の人材確保難など、多くの課題に直面しています。このシンポジウムではこうした問題を、経済学、地域経済学、国際経済学をご専門とする方々をパネリストとして迎えして検討するものです。こうした経済学を軸とした教育研究活動ができることも、熊本大学法学部の強みなのではないかと思っております。

つぎに、なかなか法学部としては景気のいいお話しがないのですが、特筆すべき成果としては、法学部には、2020年というのは令和2年ですが、この年度より「法曹コース」という教育課程を設置しております。これは法科大学院と連携協定を結んで、基本的には学部3年(これ、3年間で卒業要件を満たし、しかも、GPAという成績の平均を示す数値で3.0以上、3.0というのは平均して「優」ということですが、これ)で卒業し、協定先の法科大学院に進学して司法試験を受験し法曹を目指すというカリキュラムのことで、本学は、九州大学・神戸大学・中央大学・早稲田大学と協定を結んでおります。その1期生が昨年の司法試験に受験し、みごと3名が合格して、現在、司法修習生になっております。この3名は学部3年、大学院に進学して2年目の年に実施された司法試験に合格しておりますので、高校卒業大学進学の年から5年目の年に司法試験に合格したことになります。すでにご紹介したかと思いますが、2021年(令和3年)には当時の4年生が司法試験に合格しておりまして(現在、東京地裁で裁判官しておりますが、そういえば呼べばよかったですね。東京地検で検察官をしているわたしのゼミ生もいます。まぁ)、熊大には法科大学院はなくなりましたが、法学部や熊本の地での法曹養成は法学部が中心となって脈々と続いているとはいえると思います。

最後になりましたが、昨年、法文棟の前に武夫原会からのご寄附をいただき、高野槇(こうやまき)の木を植樹いたしました。日常、とくに手入れをする必要のない手のかからない植物のようでしたが、無事に育っていると思っていたところ、全国的なこの夏の暑さ(もちろん熊本もご存じのように暑い)の影響を受けて、なんと枯れてしまいました。申し訳ないことと存じます。この場をお借りしてお詫び申し上げると同時に、すこし成長している(ということで、すこしは強いと思われる)コウヤマキを植え替えることを予定していることをお伝えして、わたしのご挨拶とさせていただきます。

本日はお招きいただきありがとうございました。

枯れたコウヤマキ