2025年9月6日(土)にシティプラザ大阪で開催された関西武夫原会総会・懇親会に参加しました。そこで、例年通り、この1年間の法学部を振り返ってご挨拶させていただきました。

関西武夫原会での法学部長としての挨拶

法学部長の大日方です。本年も関西武夫原会総会懇親会にお招きいただきありがとうございます。1年振りではございますが、この年になりますと、こうして皆様に無事にお会いすることができたということだけで、当初の目的を果たせたように思います。

さて、昨年のこの回から今日までの1年間の法学部ですが、まずは、もう定着したかと思われますが、附属センターですが、例の「エルペルク」(メルパルクではなく)の活動についてご紹介させていただきます。ことしも例年通り6月にはシンポジウムを開催いたしました。テーマは「国賠訴訟は刑事司法を変えるのか?-冤罪の再発防止に向けて-」です。刑事裁判はかりに無罪判決がでても、そこには一応、どこにも違法はありません。ただ、いわゆる冤罪といわれているような事件においては、やはり捜査や取り調べにおいて、どこかに違法・不当な警察権・検察権の行使がなされている。そうした刑事裁判における違法性を国家賠償訴訟の中でただしていくという手法について、冤罪事件にかかわった弁護士、そうした問題を専門にしている研究者をパネリストとしてお呼びしました。

また、熊本大学法学部は、2025年6月10日に、熊本市議会と「地方議会の活性化と調査研究に関する取組」で連携協定を締結いたしました。その様子が、翌日6月11日の熊本日日新聞紙面において「政策提言力強化や主権者教育へ協定」との見出しにより紹介していただきました。何でも熊本市議会は本年の統一地方選挙で当選1回2回の議員さんが増えたようです。そうした議員さんがこれから政策提言していくためには継続的な勉強が必要ということで、そのためのリソースの提供を法学部に期待されているようでした。

シンポジウムもこの市議会との協定についてもエルペルクのウェブサイトでご覧いただけますので、是非「エルペルク」の検索ワードでお調べいただければと思います。

つぎに、いつもは法曹コースの成果をご披露させていただいております。このコースは昨年度も例年同様、早期卒業在学中受験という制度で、高校卒業後5年目に司法試験に合格するという学生を複数、排出し、熊大法学部卒業生という単位では、10名程度の司法試験合格者を出しております。例年通りの成果をあげられていると思います。

また、本年度の4年生も着々と進路を決めておりますが、そのなかで、久しぶり(というか、わたしが熊大に赴任して以降は実績はないのではないか、と思うのですが、この点については会長の深町先生がご存じかもしてませんが)、おそらく何十年かぶりに、外務省専門職(ようするに外交官試験ですが)に合格し、外務省に採用された者を出すことができました。来年度1年東京の本省で通常業務と語学研修をしたあと、スペイン語圏が担当ということで、スペインに留学するようです。法学部は学内的にはわかりませんが、学外的には評価されていると思います。

あと、めずらしいお話としては、簡単なチラシをつくりましたが、ネーミングライツ事業があります。いま国立大学はどこもかしこもジリ貧の経営状態で、とくに外部からの資金集めが求められています。その王道は、科学研究費補助金(われわれは科研費と略して呼んでおりますが)、文部科学省が所管し、日本学術振興会が実施している研究費助成制度に応募して自分の研究費をもらう、というものです。そのほかにもいろいろ外部からお金をもらってくることが、とくにいまの学長の下では奨励されているのですが、その一つにネーミングライツ事業があります。熊大での第1号はもうご存じの方もおられると思いますが、附属図書館で、肥後銀行が「ひご未来図書館」という名称をつけております。こうした波に法学部も軽くですがのって、昨年の12月には熊本トヨタさまに文法学部棟のA2教室と、文法棟はいってすぐのところの学生ロビーについて、ネーミングライツの購入をいただきました。これについては、文学部も共通に使用している場所なので、いただいたお金は文学部と半分こしています。

また、本年の7月には、おべんとうのヒライさまに法学部の自習室とリフレッシュルームについて、ネーミングライツのご購入をいただいております。これについては、武夫原会員で現在ヒライの相談役をされている河村様に仲介いただきました。もしホームカミングデーとかでお越しになられることがありましたら、是非、現地をご覧いただければと思います。

最後になりましたが、昨年からだと思うのですが、「武夫原チャレンジ支援事業」ということで、学生の学外活動にご支援いただいております。法学部からは事業名「東南アジアでのグローバル化」と、同じく「アメリカ西海岸から学ぶ持続可能な日本社会」ということで、2件、ご支援いただき、すでにこの会のホームページでご紹介いただいているところです。きょうは、外交官試験に合格した者も含めて、法学部でも意外とグローバル人材がいるのだということをご紹介して、わたしからの挨拶にかえさせていただきます。

本日はお招きいただきありがとうございました。

第60回記念の関西武夫原会キャップ

第60回記念会ということで、記念品をいただきました。