本年度で退職される先生方の送別会をご都合にあわせて2023年3月6日(月)と同3月17日(金)にわけて開催しました。

それぞれでの学部長としての挨拶です。

渡部薫先生の送別会での挨拶

 この3月31日をもって、渡部薫先生が定年退職されます。

 渡部先生は、平成21年(2009年)の4月に本学に着任され、14年間の永きにわたり本学の教育研究に貢献されました。

 ここで、簡単に、渡部先生のご経歴を紹介させていただきます。

 渡部薫先生は、1983年に東京大学文学部社会学科を卒業され、大成建設株式会社に入社されております。入社後は、1992年にイギリスのケンブリッジ大学土地経済学科の修士課程に進学され、一九九三年には同課程を修了されMaster of Philosophyの学位を授与されております。その後、ケンブリッジ大学、株式会社富士総合研究所での研究員を経て、2001年には千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程に入学され、同課程を2009年に修了、学術博士の学位を授与されております。この間にも財団法人全国市街地再開発協会の研究員を務めておられます。冒頭でふれたように、本学へは大学卒業後在職されていた大成建設株式会社を退職された2009年に大学院社会文化科学研究科の教授として赴任されております。大学院では公共政策学の専攻長等を歴任されましたが、その功績をかわれ2013年4月から2015年3月までは大学改革担当の学長特別補佐をされております。2017年に法学系教員の所属が1つになったことに伴い、現在の大学院人文社会科学研究部の教授となられております。

 本学での渡部先生は、地域経済学や文化政策に関する教育研究に従事されてきました。そして都市政策や地域づくりに関するご著書・ご論文を執筆されております。とくに、イギリスでのご経験に基づく研究成果は秀逸だと思われます。また、赴任時においては大学院に配属されていたこともあり多くの院生を指導され、法学部においては学生とフィールドワークされたり外部講師をお招きしての授業を展開されております。地域・社会に出て物事を考えるという先生の学問スタイルを存分に発揮された教育研究を展開していただきました。

 このように、渡部薫先生は、長年にわたって法学部および大学院において本学の教育と研究、さらには大学運営においても大きな貢献をされてきました。先生方におかれましては、益々ご壮健で過ごされることをお祈りし、わたしからのご挨拶とさせていただきます。

葉陵陵先生、原島良成先生、松永詩乃美先生の送別会での挨拶

 この3月31日をもちまして、法学系では、4名の先生方が退職されます。在職期間が長い順に葉先生、渡部先生、原島先生、松永先生の4名です。また、同窓会組織である武夫原会との関係では、本学職員の側で武夫原会のお世話をお願いしていた西川総務部長も定年退職されます。このうち、渡部先生の送別会は先日行い、西川部長は本日どうしてもご都合がつかないということで、後日、御礼として花束をお渡しする予定にしております。

 それでは、ここにおられる3名の先生方の送別会の開催にあたり、先生方のご紹介も兼ねて、一言、ご挨拶させていただきます。

 まず、葉先生は、平成6年9月1日に本学に赴任されております。この間、実に28年と7か月にわたり、本学で教育研究に従事されております。中国・上海でお生まれになった葉先生ですが、高校卒業あたりは文化大革命の当時でしょうか、中国の大きな変革期を経験され、本学も交流協定を締結している華東政法大学大学院で憲法を学ばれた後、わが国の中央大学の博士後期課程に留学され、行政法を研究されております。その後、さきほどお話したように、本学に赴任されました。本学でのご様子はみなさんもご存じの通りですが、なんと申しましても、海外の多くの大学との交流協定の締結にご尽力され、また、毎年のように学生を海外研修に引率していただきました。法学系だけでなく本学全体の国際化に多大なご貢献をされております。中国で学問することがまだままならない時代に、そして、わが国においてもさまざまなご苦労がおありであったことでしょうけど、こうして国立大学法学部の教授として定年退職をお迎えになられた葉先生は、わたしにはサクセスストーリーを歩まれた方のように見えます。長い間、お疲れ様でした。

 次に、原島先生、先生は平成21年10月1日に本学に赴任されたので、13年と6か月にわたり、本学の教育研究に従事していただきました。そのうちの多くの部分を法曹養成研究科でロースクール生の指導にあたられ、多くの優秀な法曹を育てております。また、法曹養成研究科がなくなった後は、熊本創生推進機構に所属され、地方自治に関する高い知見、豊富な経験を生かした業務に従事されました。ただ、ロースクールでの教育や熊創での業務はよいことばかりではなかったと思います。それが退職の理由であったとすると、残念に思います。ところで、原島先生は、わたしの大学院の後輩でもあります。ということで、あまり「先生」とは呼んでいないわけで、きょうは何だか変な感じがしますが、中央大学の法科大学院に移られるということで、わたしとしてはまことに喜ばしいことだと感じております。学界でもすでに一門の研究者として認識されておりますが、さらなる発展が期待できる飛躍のための退職であると思います。むしろ、おめでとうございます、という言葉で送り出したいと思います。

 最後になりましたが、松永先生、先生は平成22年10月1日に本学に赴任されたので、12年と6か月にわたり、本学の教育研究に従事していただきました。松永先生も法曹養成研究科の国際私法をご担当され、多くの法曹を育てられました。また、その後、台湾に留学され、そのときの交流を基に、法学部と輔仁大学・東呉大学との交流協定締結にもご尽力していただきました。先生が退職された後も、これらの大学との交流協定は大切にしてまいります。松永先生は、大阪の追手門学院大学に新設される法学部の設置メンバーとして移籍されます。大学の新学部設置にあたっては、大きなお名前の先生を集めて審査に挑むのが通例だと思われますが、先日、同大学のウエブサイトの教員リストを見たら、やはり綺羅星のごとくビックネームが並んでおりました。こうした中で、あらたに教育研究される先生を、わたしは羨ましくさえ思います。先生のご研究のさらなるご発展をお祈りいたします。

 ところで、法学系は4名の教員を失うわけですが、いずれも学長裁量ポストにある先生方です。ということで、つぎの4月からは、4名、純減するという状況になります。学部長としては、とくに途中退職するお二人の先生に対しては、一通りの嘆き節もお伝えしたいところですが、ここはぐっとこらえて、葉先生も含めまして3名の先生の門出を祝福するお気持ちだけをお伝えしたいと思います。あらためまして、葉先生におかれましては28年をこえて、原島先生・松永先生におかれましても13年・12年と10年をゆうに超えての長きにわたり本学の教育研究に従事していただきありがとうございました。先生方のご健康とご多幸をお祈りして、わたしからのご挨拶とさせていただきます。