第58回熊本大学関西武夫原会総会・懇親会が2023年9月9日(土)にシティプラザ大阪で開催されました。

来賓としてお招きいただきご挨拶させていただきました。

法学部長の挨拶

 法学部長の大日方です。本年も関西武夫原会総会懇親会にお招きいただきありがとうございます。昨年度に1期2年の任期を終えたのですが、法学部長に無事に再任され、本年もこうして皆様の前でご挨拶をする機会を得ることができました。

 昨年のこの回から今日までの1年間の法学部ですが、熊本大学内が目まぐるしく変わっていっている中で、目に見えて変わったこととしてご紹介することはとくにありません。このあたりが景気に左右されない法学部というところかと思います。ただ、この1年間の法学部をふり返れば、昨年のこの会合でもご紹介させていただいた附属センターですが、例の「エルペルク」です(メルパルクではなく)、このセンターを法学部の対外的な業務のセンターとして、さまざまな活動を実施し記録をしてきております。とくに、本年6月には、いま熊本で、そして全国的にも問題となりつつある「内密出産」「匿名出産」をテーマとしたシンポジウム「内密出産の現状と課題 - 子どもの出自を知る権利を中心に -」を開催いたしました。当日は、法学部所属の梅澤彩准教授コーディネートの下、その指導教員にあたる床谷(とこたに)文雄元大阪大学教授現奈良大学教授、本学文学部所属でドイツの事情に詳しいトビアス・バウアー教授、そしてこの内密出産等の取組は熊本市の慈恵病院で実施されているのですが、そこにもうけられた「こうのとりのゆりかご」に預けられた当事者である宮津航一さん(宮津さんは熊本県立大学の現役学生です)、熊本県弁護士会所属でこうした問題に長くかかわられている村田晃一弁護士をパネリストとしてお招きして、100名を超える参加者を得ることができました。このシンポの様子はTVニュースでも報じられ、また新聞数社にも記事にしていただきました。お手すきのときにでも「エルペルク」でググってもらえると、シンポの内容を含め、現在の法学部の様子の一端をご覧いただけると思います。

 ところで、全国に国立大学は現在86校ございますが「法学部」という看板を掲げている大学はその中で14校しかありません(7つの旧帝国大学と、一橋、新潟、神戸、岡山、広島、香川、そして本学です)。九州では2校しかありません。学長は常々、熊本大学を国立大学でトップ10の大学にするとおっしゃられていますが、これはもちろん「国立の総合大学で10番に入る」というご主張であると理解しております。そのことを前提とすると、法学部の躍進なくして熊大がトップ10に入ることはない、と思います。何らかの数字で10番目に熊大がランクされたとしても、それはあえていうなら数字の取り方に過ぎないのであって、やはり誰もが認める国立大学のトップ10ということにはならないのかと思います。法学部といたしましても、学長の提言の実現に近づけるよう、微力ながら励んでいきたいと考えております。

 ちなみに、熊本大学法学部の学生定員は現在1学年210名です。実は、来年度本学の新学環・情報融合学環の設置にあたりその学生定員60名のうち10名は法学部から拠出しております関係で、来年度R6年度からは法学部の定員は200名になります。10名減るとはいえこの200名という定員は決して少なくありません。たとえば九州内のもう1校の法学部・九州大学法学部の学生定員は1学年189名ですので、すでに、わが社は九大さんよりは大きな法学部ということになります。昼夜足して170名の広島大学や昼夜足して同じく160名の香川大学はもちろんのこと、昼間主で205名、夜間主で20名の岡山大学は大きいのですが、名古屋大学ですら150名、最近卓越大学で話題の東北大学法学部も160名定員です。熊本大学法学部は学生定員ではすでに帝国大学クラスです。その意味で、実に伸びしろのある学部であると思います。法学部教員一丸となって、ここにおられる卒業生の方々が肩身の狭い思いをしなくてよいような学部を作り上げていきたいと思っております。

 最後になりましたが、みなさんのご記憶にあるかわかりませんが、法文棟の前には、そのシンボルともいうべき梅の木がございました。その開花は法文に春の訪れを告げてくれるものでした。その梅の木が、昨年の台風で倒壊してしまったところ、このたび、武夫原会からのご寄附をいただき、高野槇(こうやまき)の木を植樹する運びとなりました。この植樹式はホームカミングデーが実施される11月4日に挙行予定でございます。きっと法文棟の新たなシンボルとなってくれると思います。当日は研究部長としてあらためてご挨拶させていただきますが、当日お越しになれない方もいらっしゃると思いますので、この場をお借りして一言、御礼申し上げて、わたしからの挨拶にかえさせていただきます。

 本日はお招きいただきありがとうございました。

 * 当日は会場の雰囲気の中でアレンジしてご挨拶させていただいております。