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 憲法(Constitution) とはもともと、「国家の某本構造」を意味しています。明治維新後の新政府樹立で、わが国が憲法先進国の英仏ではなく、君主国でありながら憲法を持つプロイセン、オーストリアに伊藤博文らを派遣して憲法を学んだのは、天皇中心の国家体制を確立するためでした。

 日本国憲法は太平洋戦争後、連合国軍総司令部(GHQ)の担当部署で起草され(マッカーサー草案)、帝国議会の審議を経て制定されました。統治の構造として国家権力を「政治的権力」と「司法的権力」の二つに分け、まず国民の権利侵害を公平に救済できるよう司法を独立させました(76条)。
 その上で、政治的権力のうち内閣の権限(65条)について、73条に内容を列挙する形で制限しています。内閣を戦前の天皇権限を引き継ぐものとして警戒している表れです。
 一方、民主的な政治的権力の国会には包括的な権限を与え(41条)、細かく統制する規定統治の基本構造を定め、は見当たりません。日本国憲法は国会に信頼を置いていると言えるでしょう。 対照的なのが米国憲法です。「選挙された君主」と言える大統領に包括的権限を認める一方、市民の代表で構成する議会の権限は内容を明記して制限しています。米国は革命を経験しており、市民が時に激情に駆れて統治の不安定をもたらしかねない、と警戒しているのです。
 日本国憲法はよく、立法、行政、司法が独立した「三権分立」と言われます。しかし、首相にも国会への議案提出権(72条)があり、閣僚の過半数は国会議員から選出しなければなりません(67、68条)。単純な三権分立ではなく、国会と内閣が一致した方針の下で権限を行使する「議院内閣制」を採用しています。
 議院内閣制は政策を円滑に実現できる利点がありますが、国会と内閣の緊張関係をどう保つかは課題です。その点を、主権者の国民が注意深く見ておく必要があるでしょう。