新聞等への過去のコメントを紹介する企画の第5弾は、西日本新聞2021年5月3日のコメントを紹介します。
記事の内容は長引くコロナ禍の中での憲法25条の意義を問うたものです。
わたしのコメント
経済的な生活の維持について、政府はまずは「自助」を求めるわけですが、それにも限界がある。とくに、日常から不安定な生活を強いられていれば、その「限界」はすぐにくる。取材を受けた中でのわたしの見解を、担当記者さんは、つぎのようにまとめてくれています。
----- 以下、記事です -----
憲法は生存権の実現を国に求めている。熊本大の大日方信春教授(憲法学)は「コロナ禍のような緊急時こそ、国の役割が問われる」と指摘する。
菅首相は1月、国会で生活困窮者対策を問われた際に「最終的には生活保護という仕組みもある」と答弁した。厚労省によると、生活保護は申請から受給までは2週間~1カ月程度かかる。大日方教授は手続きを簡素化し、行使しやすい環境をつくるのも「国の責務」と言う。
----- 記事の引用ここまで -----
日本国憲法は自由経済体制を選択していると思います(29条1項)。しがたって、政府はこの自由経済体制を維持することが憲法により求められていると思います。この自由経済体制とは、不正なく個々人の資力、能力、運を利用して生活の糧を得ることができることと、そうした営為をなす前提としてのセーフティーネットが制度として整備されている経済体制のことだと思います。したがって、生活保護制度(25条1項)は、日本国憲法が選択した自由経済体制の一部である、という観点からコメントさせていただきました。