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「国家権力を縛り、市民の自由を守る」近代憲法は英国が発祥です。ここでいう国家とは、絶対王政を倒した市民革命を経て生まれた概念で、憲法上の権利は、統治者に対する盾の役割を持つものでした。
その盾のおかげで、市民社会に菩らす私たちには、自由が保障されたのです。日々の営みや商取引は、当事者間の合意による私的自治の原則で貰かれ、憲法の適用はありませんでした。
私的自治の原則と、そこから派生する「団体の自律権」の原理は、身の回りにある組織の在り方の基本となっています。最高裁は、大学や宗教団体、政党といった団体の内部決定には司法権が原則及ばない、との判決を出しています。これは、個別の憲法条文(大学は23条、宗教団体は20条)にも根拠があり、21条が保障した「結社の自由」の効果とも考えられます。
今年5月に制定された「政治分野の男女共同参画推進法」は、政党に選挙で「男女の候補者数ができる限り均等になる」よう要請していますが、その実現は努力目標(4条)にとどめています。国会議員が所属する政党は一見、国家機関に近い存在と錯覚しがちですが、自律的な結社内部には憲法14条が原則適用できず、立候補の男女同数は強制できないのです。
今回のゼミでは、私的自治の原則を確認しつつ、会社の就業規則と慣習での男女格差について、例外的に憲法の適用が見られた判例を取り上げました。最高裁は、いずれも「専ら性別のみ」を理由とした女性差別として、憲法の男女平等原則を要請しました。
では、大相撲の土俵における「女人禁制」はどうでしょう。法学的な視点で言えば、「伝統」に憲法が適用されるのか、あるいは日本相撲協会という団体の性質が主な論点になると思います。皆さんはどう考えますか。